酪農技術情報

「ステキ粘液」=透明・柔らか・長い

JOURNAL 2024.08.20

小川諒平

小川諒平Ryohei Ogawa

『Dairy Japan 2024年9月号』p.20「発情粘液の再確認~発情時の粘液漏出の有無と受胎率の関係について~」より

 授精師さんを呼ぶときの一番多い理由(発情徴候)は「発情粘液が出ていたから」だそうです。授精師さんも「粘液漏出」を人工授精の決め手にすることが多いそうです。
 そこで著者・笠原真優さん(NOSAI北海道 ひがし統括センター 釧路中部支所 標茶家畜診療所・家畜人工授精師)は、「本当に粘液があると受胎率は良いのか?」「本当に授精の決め手にしても良いのか?」を調べました(以下、要約)。

調査対象は「ステキ粘液」

 調査対象としたのは令和3年11月から令和4年1月に人工授精の依頼があったホルスタイン雌牛、延べ1181頭。そして、人工授精時に「粘液漏出」の有無を確認し、受胎率を調査しました。
 なお、「粘液漏出」の判断は、「透明」「柔らかい」「長い」の3点を兼ね揃えたエリート粘液です(写真)。硬く、陰部や尾に微量に付いているだけの粘液、白く濁っている粘液(写真)、排血混じりの粘液は対象外としました。
 ちなみに著者は、このエリート粘液を「ステキ粘液」と呼んでいます。お世話になってる酪農家さんから、この呼び名を教わったそうです。

伸びが良く、切れない粘液

調査対象外の白く濁った粘液

「粘液漏出」は受胎率が高い

 今回の調査で、「粘液が見られると受胎率も高い」「授精時の粘液漏出の有無は受胎率に影響がある」ということが統計的に明らかになりました(数値の詳細は本誌参照)。
 なお、授精回数別での粘液漏出の割合は変わらなかったことから、リピートブリーダーにおいては粘液漏出の有無だけが受胎率に関係するのではなく、ほかの要因も関係していることが考えられます。

 著者は最後に「これからも、ステキ粘液を見つけたときは自信を持って人工授精ができる」と結んでいます。

PROFILE/ 筆者プロフィール

小川諒平

小川諒平Ryohei Ogawa

DairyJapan編集部。
1994年生まれ、千葉県出身で大学まで陸上競技(走り高跳び)に励む。
趣味はサッカー観戦。
取材先で刺激を受けながら日々奮闘中。
皆さんに有益な情報を届けるために全国各地にうかがいます。

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