「昨年の夏枯れ後の草地は?~裸地増加の危機感~」

JOURNAL 2026.07.08

住野 麻子

住野 麻子Sumino Asako

こんにちは!十勝では1番草の収穫が進んでいます。収穫した草を運ぶダンプの運転手から「ギ酸の入り具合によって草の匂いが違うんだ」と教わり実際に嗅ぎ比べてみましたが、私には分からず・・・。まだまだ修行が必要のようです。

さて、昨年、十勝でも牧草の夏枯れが大きな話題になりました。2番草生育期間中、高温と少雨の影響を受け、主力草種であるチモシーが枯れてしまい、マメ科牧草が過繁茂の状態になってしまう圃場が多く見られました。また、広がった裸地にヒエやアカザなどの雑草が繁茂し、2番草では草種構成も急激に悪化しました。

表1 昨年のA地域における草種構成割合調査の結果             (%)

  イネ科牧草 マメ科牧草 雑草 裸地
1番草 69 14 10 7
2番草 33 23 29 15
昨年の2番草の様子
昨年の2番草の様子

↑昨年2番草の様子。チモシーが枯れ、アルファルファや雑草が繁茂した

暑さで枯れてしまったチモシー

↑暑さで枯れてしまったチモシー

そのような圃場が、今年どうなっているのか。結論から言うと「思っていたよりもチモシーが生きていたが、裸地は確実に増加している」という結果です。

昨年秋には、チモシーが広い面積枯れているため裸地が非常に多く、次年度1番草の収量が激減するのではないかと予測していました。しかし、本年度、1番草の収量調査を行ってみると、想定よりもチモシーが回復しており、収量も平年並~やや少ない程度には確保されました。枯れた様に見えていたものの、休眠状態だった個体も一定数あったため、このような結果になったと考えています。

ただし、「これでよかった!」というわけではありません。チモシーは一部回復しているものの、雑草と裸地の割合は確実に増加しています。

 表2 A地域における令和7年と令和8年の1番草草種構成割合比較      (%)

  イネ科牧草 マメ科牧草 雑草 裸地
令和7年 69 14 10 7
令和8年 57 14 18 11

 特に裸地に関しては、昨年は多い圃場でも15%程度でしたが、令和8年は25%に及ぶ圃場もありました。

 また、収穫前の草地を実際に歩いてみると、裸地が多くなり足を置く場所が出来てしまっているため、「歩きやすい草地」になっています。収穫直後に積んである草(ウィンドロウ)を見ても、例年よりは山が低く、草種構成・収量の変化を実感します。

令和8年の草地の写真
令和8年の草地の写真

↑令和8年の草地の写真。上で紹介したのと同一の圃場で、雑草が一時的に消えチモシーが復活しているものの、裸地が多い状態になっている。

裸地が多い圃場に対しては、雑草の入り具合を見た上で追播などの対応を行いたいところですが、気温が上がっていく今の時期はリスクが大きいためおすすめできません。すぐに何かの対処がしにくい時期ではありますが、草種構成が確実に変化していることを把握しておくことで、来年以降の更新計画や維持管理の作業に反映出来ると思います。また、チモシーを守っていく選択肢として、刈り取り高さを10cm以上にするなど維持管理の見直しも必要かと思います。

普及センターとしては、夏枯れの被害や対策の考え方をまとめた冊子を作成し、地域に配付しました。同時に研修会も開催し、農業者の方からは「チモシーは今後も使えるのか」「オーチャードグラス以外の選択肢はあるのか」など様々な意見・質問が挙がりました。気候変動による影響がますます大きくなるなか、これまでの常識だけでは対応が難しくなっています。変化する環境の中でどのような草地づくりを目指すべきか、今後も地域の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

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PROFILE/ 筆者プロフィール

住野 麻子

住野 麻子Sumino Asako

十勝農業改良普及センター十勝南部支所で農業改良普及員として活躍中。
兵庫県神戸市生まれ。酪農に興味を持ち、大学進学を機に北海道へ。大学卒業後、十勝農業改良普及センターに就職。現在は酪農の面白さにはまり、牛漬けの日々を送っている。現場をより良くできる普及員となれるよう奮闘中。

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